動画編集
動画編集

「いい感じにお願いします」
この一言で発注が来たことがある。
正直受けるべきではなかった。
でも受けてしまった。
その結果、何が起きたか。
全部やり直しになった。
時間もコストも全部無駄になった。
発注者にとっても、私たちにとっても、最悪の結果だった。
この失敗を正直に話す。
その案件はある会社からの動画編集の依頼だった。
素材の動画は送られてきた。
でもそれだけだった。
「どんな雰囲気にしたいですか?」と聞いても、「おまかせします」という返答。
「参考になる動画はありますか?」と聞いても、「特にないです、いい感じにしてください」という返答。
違和感はあった。
でも「プロに任せたい」という意味だと解釈した。
「私たちがプロとして判断すればいい」と思った。
それが間違いだった。
指示がないなら想像するしかない。
素材の内容を見て「こういう動画にすればいいだろう」と判断した。
テンポはこれくらい。BGMはこのジャンル。テロップはこのフォント。
全部私たちの判断で決めた。
編集しながら、「これで合っているのか?」という不安は常にあった。
でも確認しなかった。
「プロとして判断した結果だから大丈夫だろう」
そう思い込もうとしていた。
そして納品した。
納品した翌日クライアントから返信が来た。
「全然違います」
たった一言だった。
どう違うのか具体的な説明はなかった。
ただ「全然違う」という事実だけがそこにあった。
「どの部分が違いますか?」と聞いた。
返ってきた答えは「全部です」だった。
頭が真っ白になった。
全部。
つまり最初からやり直しだ。
気を取り直して詳しく話を聞いた。
「どんなイメージですか?」
「うーん。もっと明るい感じで。」
「明るいというのは、BGMですか?テロップですか?全体の雰囲気ですか?」
「全体的に、ですかね。」
相変わらず曖昧だった。
でも明るい感じという言葉を頼りに修正した。
そして再納品した。
「明るくなりましたが、なんか違うんですよねー。」
また曖昧な返答だった。
「何が違いますか?」
「なんというか、テンポが違う気がして。」
テンポ。
今度はテンポを変えた。
カットを短くした。BGMのテンポを上げた。
再納品した。
「テンポは良くなったんですが、全体的にうちの会社らしくない気がして。」
「会社らしくない…」
この言葉が出た瞬間、気づいた。
クライアント自身もどんな動画にしたいかが言語化されていなかった。
頭の中にイメージはある。でもそれを言葉にできていない。
だから私たちがどれだけ修正してもそのイメージに近づけない。
これは修正の問題ではなかった。
最初からやり直す必要があった。
率直に伝えた。
「一度、御社がどんな動画にしたいかを、一緒に整理させてください。」
クライアントもさすがに疲弊していた。
「そうですね、整理しましょう。」
一時間かけてイメージを言語化した。
そして最初から全部作り直した。
最終的に完成した動画はクライアントに満足してもらえた。
でも、そこに至るまでにどれだけの時間とコストが無駄になったか。
修正対応に費やした時間。
やり取りのストレス。
やり直しの作業コスト。
全部、最初に5分かけて準備していれば防げたことだった。
この失敗を振り返ると原因は明確だ。
クライアントの頭の中には、「こういう動画にしたい」というイメージがあった。
でもそれを言葉にする習慣がなかった。
「プロに任せれば、察してくれるだろう。」という期待があった。
でもイメージを共有しない限り外注先は察することができない。
どんなに優秀な編集者でもクライアントの頭の中は見えない。
一方、私たちにも問題があった。
「いい感じにお願いします」という発注を受けた時点で確認すべきだった。
「参考動画を用意していただけますか?」
「どんなトーンにしたいですか?」
「完成イメージを言葉で教えてください。」
これらを確認してから作業を始めるべきだった。
でも確認しなかった。
「プロとして判断すればいい」という慢心があった。
結局、発注者側と受注者側両方に問題があった。
でも受注者である私たちが最初に確認を徹底していれば、防げた失敗だった。
発注者がイメージを言語化できていなくても受注者が引き出す努力をすればいい。
それがプロの仕事だと今は思っている。
この失敗から私たちは明確なルールを作った。
「いい感じにお願いします」
「おまかせします」
「プロにお任せします」
こうした言葉は発注ではない。
イメージが共有されていない状態で作業を始めることはお互いにとってリスクでしかない。
だからこうした言葉が出たときは必ず確認する。
「いい感じ、というのは具体的にどういったイメージですか?」
この一言を躊躇わずに言えるようになった。
どれだけ急ぎの案件でも最低限の確認なしに作業を始めてはいけない。
参考動画が1本もない。
イメージが全く言語化されていない。
そうした状態で作業を始めると必ずやり直しが発生する。
やり直しの方がはるかに時間がかかる。
だから最初の確認に時間をかけることが結果的に一番速い。
最初の5分の確認がその後の全てを決める。
参考動画を3本出してもらう。
トーンと雰囲気を言語化してもらう。
完成イメージを共有する。
これだけでやり直しのリスクは大幅に下がる。
この確認を面倒だと思わないようになった。
むしろ、確認することがプロとしての仕事の一部だと思っている。
もし今、同じような発注が来たらどうするか。
「いい感じにお願いします」と言われたらこう返す。
「ありがとうございます。イメージをより正確に掴むためにいくつか確認させてください。」
この確認を丁寧に、でも確実に行う。
「参考になる動画はありますか?」
この質問を必ずする。
もし「ない。」と言われたら、一緒に探す。
「こういった動画はイメージに近いですか?」と、こちらから候補を出す。
参考動画が1本でも共有されれば、イメージのズレは大幅に減る。
どれだけ急ぎの案件でも、イメージが言語化されるまで作業を始めない。
これはクライアントのためでもある。
イメージが曖昧なまま作業を始めると必ずやり直しが発生する。
やり直しはクライアントの時間も無駄にする。
だから最初の確認に時間をかけることをクライアントにも理解してもらう。
「最初に少し時間をいただくことで、やり直しのリスクを大幅に減らせます。」
この説明を丁寧にする。
ほとんどのクライアントは納得してくれる。
「いい感じにお願いします。」
この言葉は一見すると発注者からの信頼の言葉に聞こえる。
でも実際は準備不足の発注だ。
準備なしの発注は誰も幸せにしない。
外注先は想像で編集するしかない。
発注者はイメージと違う動画が上がってくる。
修正が繰り返される。時間もコストも無駄になる。
お互いにストレスが積み重なる。
この悪循環を断ち切るのは最初の5分の準備だ。
たったこれだけで全てが変わる。
あの失敗から私たちは変わった。
「いい感じにお願いします」という言葉を聞いたとき、もう黙って受けることはない。
確認する。引き出す。イメージを共有する。
それが、プロとしての仕事だと思っている。
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