動画編集
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これは私たちが数年前に経験した最も大きな失敗の話だ。
あるクライアントから、YouTube動画制作の依頼を受けた。
「バズる動画を作りたい。」
クライアントはそう言った。
話題性のある企画で多くの人に見てもらいたい。
SNSでシェアされて、拡散されて、会社の認知を広げたい。
私たちはその要望を受け入れた。
そしてエンタメ性の高い企画を制作した。
結果として動画は100万再生を超えた。
SNSでもシェアされ、コメントも多数ついた。
でも問い合わせは一件も来なかった。
この失敗から、私たちは重要なことを学んだ。
バズを狙った企画は誰にでも面白いものになる。
でもそれは誰にも刺さらないということだ。
まず当時何が起きていたのかを振り返る。
クライアントは、BtoB向けのサービスを提供する企業だった。
主な顧客は企業の担当者や経営層。
彼らに向けて自社のサービスを知ってもらい、問い合わせを増やしたい。
それが本来の目的だった。
でも最初の打ち合わせでクライアントはこう言った。
「まずはバズらせたいんです。話題になってたくさんの人に見てもらいたい。」
私たちは少し違和感を覚えた。
バズることと問い合わせを増やすことは必ずしも一致しない。
でも、クライアントの熱意に押されて私たちは「分かりました。」と答えた。
エンタメ性の高い企画を目指した。
そして企画会議を始めた。
「バズる動画とはどんな動画か?」
私たちは考えた。
こうした要素を盛り込んだ企画を考えた。
最終的に決まったのは、エンタメ系のチャレンジ企画だった。
詳細は伏せるが、誰が見ても楽しめる話題性のある内容だった。
社内でプレゼンしたところ、評判は上々だった。
「これは面白い!」「絶対バズる!」
クライアントも喜んだ。
私たちも「これはいけそうだ。」と思った。
でも今振り返るとこの時点で既に問題があった。
ターゲットが曖昧になっていた。
本来のターゲットは企業の担当者や経営層だった。
でもエンタメ系のチャレンジ企画は、もっと広い層に向けた内容だった。
学生、若手社会人、主婦層。
誰でも楽しめる内容にした。
それが「バズる」ための条件だと思ったからだ。
でも誰でも楽しめるということは特定の誰かに深く刺さる内容ではないということだ。
この時点で私たちは本来の目的から外れ始めていた。
動画は予定通り公開された。
そして予想以上の反応があった。
再生数は急速に伸びた
公開から1週間で再生数は50万回を超えた。
1ヶ月後には100万回を突破した。
私たちもクライアントも驚いた。
「すごい!本当にバズった!」
社内では祝賀ムードだった。
コメントも多数ついた
コメント欄には多数のコメントが寄せられた。
「めっちゃ面白い!」
「すごい!」
「次も見たい!」
ポジティブなコメントばかりだった。
SNSでもシェアされTwitterでも話題になった。
数字だけを見れば、大成功だった。
でも、問い合わせフォームには何も来なかった
でも、肝心の問い合わせフォームには何も来なかった。
動画公開から1ヶ月経っても、ゼロ。
2ヶ月経っても、ゼロ。
クライアントは困惑した。
「これだけ見られているのになぜ?」
私たちも答えられなかった。
私たちは焦って数字を分析した。
YouTube Analyticsを開き詳しく見ていった。
まず視聴者属性を確認した。
すると衝撃的な事実が分かった。
視聴者の65%が18〜24歳の若年層だった。
25〜34歳が25%。
35歳以上はわずか10%だった。
本来のターゲットである企業の担当者や経営層は35歳以上が中心のはずだ。
でも実際に動画を見ていたのは、若い世代だった。
つまりターゲットに届いていなかった。
次に視聴維持率を確認した。
これは意外にも高かった。
平均で68%の人が最後まで動画を見ていた。
「動画の内容は悪くないんだな。」
そう思った。
でも、概要欄のリンクをクリックした人はほとんどいなかった。
100万回再生されたのに概要欄のリンクがクリックされたのは、わずか400回。
クリック率は0.04%だった。
そして、その400回のクリックから問い合わせに至ったのはゼロだった。
つまり視聴者は動画を見て「面白かった!」と思った。
でもそれで終わりだった。
「この会社のサービスを知りたい」とは思わなかった。
「問い合わせしてみよう」とも思わなかった。
なぜなら、動画の中で会社のサービスがほとんど伝わらなかったからだ。
エンタメに全振りした結果「何の会社なのか」「どんなサービスを提供しているのか」が、視聴者の記憶に残らなかった。
ただ「面白い動画を見た!」という体験だけが残った。
この失敗を振り返って根本的な原因が見えてきた。
私たちは「バズ」と「成果」を混同していた。
バズる動画には共通点がある。
誰にでも面白い。誰にでも理解できる。誰にでも共感できる。
だから多くの人に見られる。シェアされる。
でも「誰にでも」ということは「特定の誰か」ではない。
ターゲットが曖昧だ。
一方、成果が出る動画は逆だ。
特定のターゲットに深く刺さる内容になっている。
そのターゲットが抱えている課題を具体的に解決する。
だからターゲットは「これ、自分のことだ!」と思う。
そして次のアクションを取る。
問い合わせる、資料をダウンロードする、Webサイトを訪れる。
バズる動画と、成果が出る動画。
この2つは多くの場合で相反する。
バズらせようとすると、ターゲットを広げる必要がある。
誰にでも面白い内容にする必要がある。
でも、そうすると、特定のターゲットには刺さらなくなる。
逆にターゲットを絞ると、バズりにくくなる。
見る人の数は減る。
でも、見た人の中で行動する人の割合は増える。
私たちはこの構造を理解していなかった。
だから「バズって、成果も出る。」と思い込んでいた。
では、本来どうすべきだったのか?
まず企画段階で立ち止まるべきだった。
クライアントが「バズらせたい!」と言った時点でこう聞くべきだった。
「バズらせることで何を達成したいですか?」
「本来の目的は、問い合わせを増やすことですよね?バズることでそれは実現できますか?」
この問いを投げかけていれば、方向性が変わっていたかもしれない。
クライアントが「バズらせたい」と言う背景には、何があったのか?
おそらく「会社の認知を広げたい」という思いがあった。
でも認知を広げることと問い合わせを増やすことは別の話だ。
私たちはその違いを説明すべきだった。
「認知を広げるならエンタメ系の動画は有効です。でも問い合わせを増やすなら、ターゲットを絞った動画の方が効果的です。」
そう伝えて、クライアントと一緒に優先順位を決めるべきだった。
そして、ターゲットを明確にすべきだった。
「企業の担当者や経営層」
このターゲットが抱えている課題は何か?彼らが興味を持つテーマは何か?
それを深く掘り下げて、企画を作るべきだった。
エンタメではなく、ターゲットの課題解決に焦点を当てた企画。
再生数は100万回にはならないかもしれない。
でも、5万回の再生でもその中にターゲットが多く含まれていれば、問い合わせは来る。
それが本来やるべきことだった。
この失敗から、私たちは多くのことを学んだ。
まず「誰にでも面白い」は「誰にも刺さらない」ということだ。
万人受けを狙うとターゲットが曖昧になる。
結果として、誰も行動しない。成果は出ない。
逆にターゲットを絞ることが成果への最短距離だ。
「この動画は、○○な人のためのものです。」
明確にターゲットを絞ることでその人たちには深く刺さる。
そして行動につながる。
再生数は少ないかもしれない。
でも成果は出る。
最後に、クライアントの要望とやるべきことは違う場合があるということだ。
クライアントが「バズらせたい」と言ってもそれが本当に必要なこととは限らない。
私たちはプロとして、本当に必要なことを提案すべきだった。
「バズらせるよりもターゲットに刺さる動画を作る方が成果につながります。」
そう伝えるべきだった。
でも当時の私たちにはその勇気がなかった。
クライアントの要望にただ従ってしまった。
もし今、同じような依頼を受けたら私たちはどう対応するか?
まず目的を確認する。
「バズらせることで、何を達成したいですか?」
「本来の目的は認知拡大ですか?それとも、問い合わせ獲得ですか?」
この問いを投げかけて、クライアントと一緒に考える。
そして、バズと成果は別物だということを最初に伝える。
「バズる動画は、再生数は伸びますが問い合わせには繋がりにくいです。」
「逆にターゲットを絞った動画は再生数は少ないですが、問い合わせには繋がりやすいです。」
この違いを具体的な事例を交えて説明する。
その上でどちらを優先するかクライアントと一緒に判断する。
もし認知拡大を優先するなら、エンタメ系の企画を提案する。
ただし「問い合わせは期待しないでください。」と明確に伝える。
もし問い合わせ獲得を優先するなら、ターゲットを絞った企画を提案する。
ただし「再生数は少ないかもしれませんが、成果は出ます。」と伝える。
この透明性が、信頼を生む。
そして後悔のない判断ができる。
バズることは悪いことではない。
多くの人に見てもらえるのは素晴らしいことだ。
でもバズは手段であって目的ではない。
バズらせることが目的になってしまうと本来の目的を見失う。
私たちはこの失敗を通じてそのことを痛感した。
100万再生を達成したのに成果はゼロ。
この経験は私たちにとって大きな転機になった。
それ以降、私たちはクライアントから「バズらせたい」と言われても
簡単に「分かりました」とは言わなくなった。
まず目的を確認する。
そしてバズと成果の違いを説明する。
その上で、最適な方法を提案する。
時にはクライアントの要望と違うことを提案することもある。
でも、それが本当にクライアントのためになると信じている。
成果を出すにはターゲットを絞る勇気が必要だ。
「誰にでも」ではなく「この人に」
その選択ができるかどうかで成果は大きく変わる。
ターゲットを絞ると、見る人の数は減る。
バズることもない。
でも見た人の中で、行動する人の割合は圧倒的に高くなる。
そして問い合わせが来る。
商談に進む。
契約に至る。
これが本当の成果だ。
100万再生でも成果ゼロという失敗。
この経験は私たちにとって痛かった。
クライアントにも申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
でも、この失敗が私たちの大きな転機になった。
それ以降私たちは「成果」を最優先に考えるようになった。
再生数ではなく問い合わせ数。
バズることではなく、ターゲットに刺さること。
この軸がぶれなくなった。
そしてクライアントの成果も確実に出るようになった。
もしあなたが「バズる動画を作りたい」と思っているなら、一度立ち止まって考えてほしい。
本当の目的は何か?
バズらせることでそれは達成できるのか?
その問いに、正直に答えてほしい。
そしてもし本当の目的が「成果を出すこと」ならターゲットを絞る勇気を持ってほしい。
「誰にでも」ではなく「この人に」
その選択が成果への最短距離だ。
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