動画編集
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これは私たちが数年前に経験した失敗の話だ。
あるクライアントから、YouTube用の企業紹介動画の制作依頼を受けた。
内容は、社員インタビューを中心にオフィスの雰囲気や製品の紹介を盛り込んだ10分程度の動画。
私たちが最初に提案した撮影計画は2日間だった。
1日目にインタビューとオフィス風景・2日目に製品撮影と補足的なカットを撮る。
余裕を持ったスケジュールだ。
でもクライアントからこう言われた。
「できれば撮影は1日で終わらせたい。コストを抑えたいので。」
私たちは悩んだ。
1日でも不可能ではない。スケジュールを詰め込めばなんとかなるかもしれない。
そして私たちは引き受けた。
「分かりました。1日で撮影します。」
これが失敗の始まりだった。
撮影当日、私たちは朝9時にクライアントのオフィスに到着した。
その日のスケジュールはこうだった。
紙の上では、完璧なスケジュールに見えた。
でも、実際に撮影を始めるとすぐに遅れが出た。
最初の社員のインタビューは、1人30分の予定だった。
でも実際には1人あたり50分かかった。
なぜならインタビュー対象者が緊張していて、なかなか良い答えが出てこなかったからだ。
何度も撮り直し、やり直しを繰り返した。
結果として、3名のインタビューだけで予定の2時間を大幅に超え3時間かかった。
その時点でスケジュールは1時間遅れていた。
昼休憩を挟んでオフィス風景の撮影に入った。
本来なら、じっくり時間をかけていろいろなアングルから撮影したかった。
でも時間がない。
急いでいくつかのカットを撮った。
「このカット、もう少し違うアングルでも撮っておきたいな」と思ったが、時間がないので次に進んだ。
「まあ、なんとかなるだろう」
撮影中、何度もそう思った。
15時を過ぎて製品紹介の撮影に入った。
でもこの時点ですでに1時間半遅れていた。
製品紹介は、本来なら2時間かけてじっくり撮りたかった。でも残り時間は1時間半しかない。
急いで基本的なカットだけを撮った。
「この角度からも撮っておいた方がいいかな?」と思ったが、時間がないのでスキップした。
「編集で何とかなるだろう」
そう思った。
17時になった。
本来なら、ここから補足カット
「つなぎのカット・B-roll(背景映像)・細かいディテールのカット」を撮る予定だった。
でも、残り時間は1時間しかない。そしてまだ機材を片付けなければならない。
結局、補足カットはほとんど撮れなかった。
「インタビューとメインのカットは撮れたから大丈夫だろう。」
そう思って、撮影を終えた。
撮影から数日後、編集作業に入った。
そして致命的な問題に気づいた。
インタビューの素材を見返すと、使える部分が思ったより少なかった。
3名のインタビューを撮ったが、それぞれの「良いシーン」はせいぜい2〜3分程度。
10分の動画を作るには、明らかに足りない。
なぜこうなったのか?
撮影時、時間に追われていたため、
各質問に対する回答を「もう一度、別の言い方で話してもらう」ということができなかった。
結果として、使える素材が限られてしまった。
インタビューを編集していると、すぐに気づいた。
つなぎのカットがない。
たとえば、AさんのインタビューからBさんのインタビューに切り替える。
本来なら、その間にオフィスの風景やチームで働いている様子などのカットを挟んで自然につなげたい。
でも、そういうカットが圧倒的に足りない。
結果として、インタビューをそのまま続けて流すしかなくなった。
これでは視聴者は飽きる。
さらに致命的だったのは、B-rollがほとんどないことだった。
B-rollとはメインの映像を補足する映像のことだ。
たとえばインタビューで「私たちはチームワークを大切にしています」と話しているとき、
画面にはチームで会議をしている様子やランチを一緒に食べている様子を映す。
これがあると話の内容が視覚的に伝わりやすくなる。
でも、私たちが撮影した素材にはこうしたB-rollがほとんどなかった。
結果として、インタビューのシーンが延々と続く、単調な動画になってしまった。
製品紹介のシーンも問題があった。
撮影したのは、基本的な角度からのカットだけ。
製品の細かいディテール、使用シーン、異なるアングルからの映像
こうしたバリエーションがなかった。
結果として、製品紹介のシーンも単調で面白みのないものになった。
編集を進めれば進めるほど、絶望的な気持ちになった。
このままでは10分の動画が作れない。
無理やりつなげても、視聴者が途中で離脱するような退屈な動画にしかならない。
私たちはクライアントに報告しなければならなかった。
編集作業を一時中断し、クライアントに連絡した。
「申し訳ありません。撮影した素材だけでは、期待されているクオリティの動画を作ることができません。」
クライアントは驚いた。
「え?あれだけ撮影したのに?」
私たちは、具体的に説明した。
そして、提案した。
「追加で撮影をさせてください。必要な素材を撮り足せば、きちんとした動画に仕上げられます」
クライアントは悩んだ。
追加撮影には、また費用がかかる。スケジュールも調整しなければならない。
でもこのままでは動画を公開できない。
結局、追加撮影をすることになった。
追加撮影ではこうした素材を撮った。
追加撮影は、丸1日かかった。
つまり、結局2日間の撮影が必要だったということだ。
最初の撮影と追加撮影を合わせると、トータルの撮影コストは当初計画の3倍近くになった。
なぜなら追加撮影には、再度のスケジュール調整・機材の手配・スタッフの確保が必要だったからだ。
さらに、編集も一度中断して、追加素材を待ってから再開したため、納期も大幅に遅れた。
もし最初から2日間の撮影で計画していれば、これらの余計なコストは発生しなかった。
クライアントも私たちも無駄な時間と費用を使うことになった。
この失敗を振り返ると、いくつかの原因が見えてくる。
撮影中、私たちは常に時間に追われていた。
だから「このカット、本当に使えるかな?」「もう一度撮り直した方がいいかな?」と立ち止まって考える余裕がなかった。
撮影はただでさえ予測不可能な要素が多い。
照明が思ったように当たらない。インタビュー対象者が緊張する。機材にトラブルが起きる。
こうした問題に対処するには時間的な余裕が必要だ。
でも1日に詰め込みすぎると、その余裕がなくなる。
結果として問題に気づかないまま、撮影を終えてしまう。
撮影では念のための素材が重要だ。
たとえば、同じシーンを複数のアングルから撮る。同じ質問に対する回答を少し違う言い方でもう一度話してもらう。
こうした「念のため」の素材が、編集段階で役に立つ。
メインの素材に問題があっても予備の素材でカバーできる。
でも時間に余裕がないとこうした「念のため」の撮影ができない。
結果として、編集段階で素材が足りなくなる。
時間に追われていると、クライアントとのコミュニケーションも不足する。
「このシーン、どう思いますか?」「もう一度撮り直しましょうか?」
こうした確認をする余裕がなくなる。
結果として、クライアントの期待と実際に撮影した内容にズレが生じる。
そして編集段階になって初めて「思っていたのと違う」という問題が発覚する。
この失敗から私たちは多くのことを学んだ。
撮影計画を立てるとき、「最低限これだけあれば撮れる」という日数ではなく、
「余裕を持ってこれだけ必要」という日数で考えるべきだ。
なぜなら撮影は予測不可能な要素が多いからだ。
予定通りに進むことの方がむしろ稀だ。だから余裕を持った計画が必要だ。
たとえば「1日でギリギリ撮れる」と思ったら、2日で計画する。
その余裕がクオリティを担保する。
撮影前に、編集のことを考える。
どんな構成の動画にするのか?どんなカットが必要なのか?
これを事前に設計しておく。
そして撮影時に「この構成を実現するには、どんな素材が必要か?」を常に意識する。
私たちは今、撮影前に「ショットリスト」を作る。
必要なカットをリスト化して撮影中にチェックしていく。
これにより「撮り忘れ」を防げる。
撮影が終わる前に必ずチェックリストを確認する。
このチェックリストがあれば撮り忘れを防げる。
そして撮影現場を離れる前に問題に気づける。
もし今、同じような依頼を受けたら私たちはどう判断するか?
もしクライアントが「1日で撮影を終わらせたい」と言ったら、私たちはこう答える。
「申し訳ありませんが、1日では期待されているクオリティの動画を作ることはできません。」
そして理由を説明する。
適切な日数を提案し、予算が合わなければやらない
その上で適切な撮影日数を提案する。
「2日間の撮影で計画しましょう。その方が、確実に成果の出る動画を作れます。」
もしクライアントが「2日分の予算はない」と言ったら、私たちはこう答える。
「それなら今回は見送った方がいいかもしれません。中途半端な動画を作っても成果は出ませんから。」
厳しい言い方かもしれない。でもこれが誠実だと思う。
なぜなら、無理に1日で撮影して結局追加撮影が必要になったら、クライアントはもっと多くの時間と費用を失うからだ。
この失敗で学んだ最も重要なことは「できます」と言わない勇気だ。
クライアントから「1日でできませんか?」と聞かれたとき、つい「できます」と言いたくなる。
断ったら仕事を失うかもしれない。
でも無理に引き受けて失敗したら、クライアントの信頼を失う。
それなら最初から正直に「できません」と言う方がいい。
そして適切な方法を提案する。
それが長期的にはクライアントのためにもなるし、自分たちのためにもなる。
撮影日数を削ることは短期的にはコスト削減に見える。
1日で撮影すれば、2日で撮影するより安い。
でも長期的にははるかに高くつく。
なぜなら素材が足りず追加撮影が必要になるからだ。
そして、追加撮影には最初からきちんと撮影する場合の何倍ものコストがかかる。
だから最初から適切な日数で撮影した方がトータルコストは安い。
そしてクオリティも高い。
私たちはこの失敗を忘れない。
そして今ではクライアントに対して正直に伝えるようにしている。
「撮影日数を削ると結局コストが膨らみます。最初から適切な日数で計画しましょう。」
これがクライアントのためでもあり、私たちのためでもある。
「でも適切な撮影日数がどれくらいかなんてわからない。」「どうやって撮ればいいのか、なにを喋ればいいのかわからない。」
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